親から住宅用地を贈与してもらったら
2024/11/26 お役立ち情報
若い夫婦が、親が所有する敷地に新築住宅を建築するケースは珍しくありません。
その際の、親から土地を贈与される場合の贈与税はどうなるのでしょうか。
贈与税の課税方式には、「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つがあります。
贈与税について何もしなければ、「暦年課税」が適用されます。
ここでは、65歳の父親が30歳の息子に1,500万円の土地を贈与したケースで見ていきます。(ケース1)
◆暦年課税の場合
1,500万円-110万円(控除額)=1,390万円(課税対象額)
1,390万円×40%(税率)-190万円(控除)=366万円
366万円の贈与税が発生します。
◆相続時精算課税の場合
1,500万円-1,500万円(上限2,500万円)=0円
0円×20%(相続時精算課税の税率)=0円
贈与税は0円となります。
では、同じ親子で3,000万円の土地の贈与があった場合は(ケース2)
◆暦年課税の場合
3,000万円-110万円(控除額)=2,890万円(課税対象額)
2,890万円×45%(税率)-265万円(控除)=1,035.5万円
1,035.5万円の贈与税が発生します。
◆相続時精算課税の場合
3,000万円-110万円(基礎控除)-2,500万円=390万円
390万円×20%=78万円
78万円の贈与税が発生します。
■相続時課税制度の注意点
贈与した方について相続が発生した場合に、贈与された土地の価格(上記では、1,500万円、3,000万円)を相続財産に加算しなければなりません。その場合、ケース2で支払い済の贈与税は、相続税から差し引くことができます。相続税の方が安ければ、還付されます。
また、同じ人同士の贈与では、上限2,500万円までしか使えず、一度選択すると、その後暦年課税に戻すことはできません。
■相続時課税制度の手続き
適用したいときには、贈与があった年の翌年2月1日から3月15日までの間に
受贈者の納税地の所管税務署に必要書類を提出する必要があります。
ちなみに、各計算のもととなる土地の価格(評価額)は、路線価方式または倍率方式で算出することになっています。
上記のケース1,2では、相続時課税制度を利用するしかないように思えますが、
実際は、贈与者・受贈者の年齢や関係性、贈与する土地の評価額、他の資産、推定相続人の数などで、どちらが有利なのかが変わってきます。
税理士や税務署によく相談されることをお勧めします。