増えゆく空き家をどうするのか

2023/12/22 お役立ち情報

増えゆく空き家をどうするのか

空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律(令和5年12月13日施行)

適切に管理されていない空家は、その対策が大きな課題となっています。空家の特別措置法が一部改正され、空家所有者の責任が強化されることになりました。

通風、換気や除草・清掃などで適切に管理されている空家は良いのですが、そうでない空家は、倒壊や火災のリスクがあり、町の美観にも影響を与えます。倒壊寸前で危険性が高い空家は「特定空家」に指定され、除去等の処分が行われることがありますが、今回の法改正で「特定空家」になる前の「管理不全空家」についても、市区町村が指導・勧告を行えるようになりました。

住宅が建てられている土地の固定資産税は特例により軽減されています。管理不全空家と指定されてしまうと、その特例が解除されます。つまり、固定資産税が高くなってしまうということです。また、所有者が不明になってしまった空家については、市区町村がその空家の財産管理人を裁判所に選任してもらうよう請求することができます。と同時に、所有者を洗い出すために、電力会社等に情報提供を要請することもできるようになりました。

倒壊のリスクが高い空き家は、市区町村が「行政代執行」といって、所有者の代わりに取り壊すことが出来ます。その場合の費用は当然所有者に請求されるのですが、支払わなかった場合は、財産を差し押さえられることもあります。

なにやらマイナスなイメージの法改正ですが、空家の活用拡大についても触れています。

建築基準法上の接道義務を果たさない空家については、建替え・改築ができるよう接道規制を合理化したり、用途地域の制限を特例許可したりできることになりました。
どういうことかというと、今までは建築基準法の決まり上、出来なかった空家の活用(建替、改築でよみがえらせたり、コミュニティカフェなど用途を変更して使うこと)が出来る可能性がでたということです。
また、空家等管理活用支援法人を設立し、空家で悩んでいる人の相談に乗ったり、情報提供(活用へのめどをつける等)ができるようになりました。

相続した空家を売却した場合の、譲渡所得の3000万円控除や、断熱性能をあげるリフォームを行って賃貸した場合の補助金制度など、空家を活用しやすい制度も整備されつつあります。

自分が育ってきた実家から、遠く離れたところに生活の拠点をもち、実家の両親も亡くなってしまった。空家はそんな、誰にでも起こる状況から生まれます。かつては人の賑わいがあった家を悲しい結末で終わらせないためにも、早めに空家の有効活用を検討したいところです。