古民家って?

2024/09/30 その他

古民家って?

最近では古民家をリノベーションして、カフェや宿泊施設をオープンする、なんて話をよく耳にします。古民家、とはいったいどのようなものなのでしょうか。

「古民家」に明確な定義はないようです。一般的には、築50年以上経っている民家を古民家と呼ぶ流れもあるようですが、ただ単に築年数が古いもの、というよりは、伝統的な構法で建てられた、風情のある建物といったイメージが共有されているのではないでしょうか。

古民家の特徴

茅葺(かやぶき)屋根

茅葺とは、スズキやチガヤ、ヨシなどの草を材料として屋根を葺いたもの。下地には稲や麦わらを用いることが多くあります。日本独自の物のように思えますが、イギリスやドイツ、北欧などでも広く使われています。

定期的な葺き替えが必要なものの、通気性と断熱性、吸音性にも優れています。
ただし、火気に弱く、一度火が付いたら大火になりやすいのも特徴です。

土壁

漆喰や珪藻土などを材料にしています。
漆喰は抗菌作用があり、かつ強度があります。珪藻土は優れた調湿機能があり、呼吸する壁ともいわれています。通気性、耐火性、蓄熱性があり、現代でもその良さが見直されています。

床板は無垢材、居室には畳

無垢材というのは、自然の木を伐りだし、加工をしていない木材のことです。素朴な風合いで肌さわりにも優れています。熱伝導率が低く、外の暑さや寒さから生活空間を守ってくれます。調湿機能もありますが、温度や湿度により膨張や収縮します。

畳は日本独自のもので、調湿性、保温性、吸音性に優れています。イ草の香りが好きな方もいらっしゃるのではないでしょうか。

窓には障子

和紙が貼られた障子は、直射日光を適度に和らげ部屋全体を柔らかな光で包みます。障子のデザインも多様で、下半分にガラスがはめ込まれた「雪見障子」など、大変風情のあるものもあります。

玉石基礎

伝統構法で建てられている古民家の基礎は、地面に石を置きその上に柱を立てる「玉石基礎」が用いられています。石と柱を固定しないので、いわゆる免震構造となり、地震の揺れを吸収する働きもあります。通気性がよくメンテナンス性にも優れています。

木造枠組み工法

工法は、柱と梁を組み合わせて建物を建てる木造枠組み工法で、さらに、つなぎ目に金物を使わない伝統的な構法を用いているものもあります。

 

古民家はまた地域の気候風土や文化によって特徴が異なります。
雪が多い地方では、豪雪に耐えうるように屋根に急勾配が用いられています。
壁がすくなく障子で間仕切られ風通しが良いのも、高温多湿の日本の風土に適合しており、心地よく暮らす工夫がたくさんなされています。

よく欧米の住宅は強固で長持ちする、日本の住宅は寿命が短いなどといったイメージが持たれがちですが、適切な手入れにより100年以上長持ちしている古民家は少なくありません。現代に生きる私たちも、古民家の知恵と工夫を生かし、快適で長く安心して暮らせる家を建てることは十分可能なのです。